PMIイズム#9

ステークホルダーの特定と関係構築、またステークホルダーをプロジェクトに関与させることに熱心である

私が「ステークホルダー」という単語の意味を知ったのは10数年前、PMP(当時はPMBOK第3版)の試験対策講座を受講した時になります。

この際、「ステークホルダーとは、プロジェクトを取りまく全ての関係者である」と学びました。しかし、当時はステークホルダーがさほど重視される時代でも無く頭の片隅にとどめておくだけでした。これでは曖昧で説得力に欠けると感じたため今回、ステークホルダーについて再度調査し直したところ「利害関係者」つまり、プロジェクトが成功すると得をし、失敗すると損をする人であることがわかりました。


アジャイルでは、特に権力・関心が高くプロジェクトに大きな影響をもたらすステークホルダーを特定し、プロジェクトの初期段階から積極的に関与させることが求められます。スプリントレビューの場でステークホルダーに対してそのスプリントの成果物のデモを実施し、フィードバックを得ながら進めていくやり方になります。そして、こちらの重要性を問う問題がJPS提供のPMP対策問題集(eラーニング)でも多く登場しています。


一方で、10数年前はどこもかしこもウォーターフォールが主流であり、影響力の高いステークホルダー(顧客側の責任者、エンドユーザー)がプロジェクトの序盤~中盤で深く関与してくることはほとんど無く、作業を請け負った側の責任者も「遅延が発生していない」ことをひたすらアピールするだけでした。そして、品質よりも納期を優先した挙句終盤になって品質上の課題が浮き彫りになり、デスマーチに陥ることが「いつものパターン」でした。


私自身、いつも「もっとプロトタイプを積極的に作ってエンドユーザーに触ってもらい、OKを貰っておけば理想的な試合運びができるのに…」と心の中で叫んでいました。しかし、上位者に意見しても返ってくるのはいつも「もっと他にやるべきことがあるだろう」の一言でした。この際、ステークホルダーを早い段階から定期的に深く関与させておけば同じ結果にはならなかったはずです…


また、こちらもJPS提供のeラーニングで学んだことですが、最新のPMBOK(第7版)では「ステークホルダーエンゲージメント」という言葉が度々登場します。こちらは「ステークホルダーの期待・要望を把握してプロジェクトに参加してもらうよう働きかけること」となります。さらに、プロジェクトのゴールは「要件に沿ったモノを作ってリリースする」ではなく「ステークホルダーの目的を達成すること」と定義されています。そして、ステークホルダーエンゲージメントの重要ポイントとしては「影響の大きさで優先順位を決める。また、注意深く観察し変化を見逃さないようにすること」となっています。
以前は、


・豊富なナレッジ・ノウハウを持ち、顧客を説得する力のある人
・高いカリスマ性を有し、メンバーをぐいぐい引っ張る力のある人
・技術的にもメンタル的にもメンバーを上手くケアできる人


が理想的なPM像となっていたように思えますが、現在求められているのは何よりもまず「プロジェクトの序盤から主要ステークホルダーと積極的に関与し、良好なリレーションシップを構築しながらプロジェクトに上手く巻き込み、チームを1つにまとめていくこと」であると考えます。

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